妊娠高血圧症候群を併発した胎児共存奇胎から臨床的侵入奇胎へ進展した1例

  • 保科 涼真
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 三杦 卓也
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 田原 三枝
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 羽室 明洋
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 中野 朱美
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 橘 大介
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学
  • 古山 将康
    大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学

書誌事項

タイトル別名
  • A case report : development of hydatidiform mole coexistent with a fetus to clinically invasive mole with hypertensive disorders of pregnancy(HDP)
  • ニンシン コウケツアツ ショウコウグン オ ヘイハツ シタ タイジ キョウソンキタイ カラ リンショウテキ シンニュウキタイ エ シンテン シタ 1レイ

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説明

<p>胎児と胞状奇胎が認められる胎児共存奇胎は,22,000~100,000妊娠に1例と発症頻度は低い.全胞状奇胎では妊娠24週以降まで妊娠継続ができた場合,生児を得られる確率は約70%との報告もある.今回われわれは,胎児共存奇胎と診断し十分なインフォームドコンセントのうえ妊娠継続したが,妊娠高血圧腎症を併発し,妊娠終結となった1例を経験したので報告する.症例は39歳,3妊1産.妊娠12週で子宮内に胎盤との連続性を認めるが,境界明瞭なmultivesicular patternの病変部を認めた.妊娠15週での血中hCGは865,398.2 mIU/mlであった.羊水検査では染色体異常は認められず全胞状奇胎との胎児共存奇胎と診断した.妊娠20週に血圧158/72 mmHg,尿検査で蛋白尿3+であり,妊娠高血圧腎症と診断した.妊娠21週に血圧170/68 mmHgとなり,母体の健康を著しく害するおそれがあり妊娠終結の方針となった.分娩誘発し,女児および囊胞状病変を娩出した.娩出5週後,血中hCGは17,041.1 mIU/mlと非順調型と判断した.MRIにて骨盤内に5 cm大の腫瘤性病変を認めた.臨床的侵入奇胎の診断で,メトトレキサート単剤療法を施行し,経過は良好である.過去の文献を基にした結果,妊娠高血圧腎症を早期に合併した胎児共存奇胎の生児獲得率は非常に低率であった.〔産婦の進歩74(1):179-187,2022(令和4年2月)〕</p>

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