糖尿病モデルマウスにおけるインスリン抵抗性の誘導と骨格筋中セレンタンパク質発現との関連性

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between induction of insulin resistance and selenoprotein expression in skeletal muscle in diabetic mouse model

抄録

<p>【目的】近年、疫学研究において血清中セレン濃度の高い集団で2型糖尿病の有病率が高いことが示されている。従って、セレンはセレノプロテインP (SelP)やグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)などのセレンタンパク質発現を介して糖代謝や脂質代謝に影響を与える可能性が考えられる。また、老年症候群の進行において、骨格筋量の減少、すなわちサルコペニアの進展とインスリン抵抗性との関連性が指摘されている。そこで本研究では、高脂肪飼料(HFD)摂取によって2型糖尿病モデルマウスを作製し、seleno-L-methionine (SeMet)の投与がインスリン抵抗性の惹起に及ぼす影響と骨格筋中のセレンタンパク質発現に及ぼす影響について検討した。</p><p>【方法】2型糖尿病モデルマウスであるNSYマウスを通常飼料(ND)摂取群、ND+SeMet摂取群、HFD摂取群、HFD+SeMet摂取群に分け、12週間飼育した。飼育10週目に2g/kg経口グルコース負荷試験(OGTT)、飼育11週目に0.75U/kg insulin負荷試験(ITT)を行った。飼育12週目における血漿中のインスリン、アディポネクチンおよび遊離脂肪酸量を測定した。また、肝臓、腓腹筋およびヒラメ筋を採取し、各組織中におけるSelP、SelW、およびGPx1 mRNA発現量を測定した。</p><p>【結果・考察】ND摂取群に比べてHFD摂取群でより顕著な耐糖能低下およびインスリン抵抗性の発現が認められ、SeMet摂取によってさらに悪化することが示された。腓腹筋のGPx1 mRNA発現量は、SeMet摂取にかかわらずHFD摂取群で有意に増加した。また、ヒラメ筋のSelP、SelWおよびGPx1 mRNA発現量は、SeMet摂取にかかわらずHFD摂取群で有意に増加し、GPx1 mRNA発現量はSeMet摂取により有意に増加した。以上のことから、NSYマウスにおいて、ヒラメ筋のSelP、SelWおよびGPx1 mRNA発現量は、HFD摂取によるinsulin抵抗性の発現と関連することが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166623616
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-204
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ