瀬戸内海サワラ資源回復計画の経済分析

  • 有路 昌彦
    アミタ(株)持続可能経済研究所 主席研究員
  • 髙原 淳志
    アミタ(株)持続可能経済研究所 研究員
  • 千田 良仁
    アミタ(株)持続可能経済研究所 主席研究員

書誌事項

タイトル別名
  • Economic analysis of resources recovery plan for Japanese Spanish mackerel in Seto Inland Sea
  • セトナイカイ サワラ シゲン カイフク ケイカク ノ ケイザイ ブンセキ

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抄録

<p>本研究は,広域の資源管理が導入された瀬戸内海のサワラ資源回復計画を対象に,経済学的な視点から資源回復計画の成功要因と課題を明らかにすることで,今後の資源管理に資する情報を提供する。</p><p>最初に,瀬戸内海サワラの財としての性質を価格関数分析により明らかにした。その結果瀬戸内海のサワラ漁業の市場戦略としては,サゴシの漁獲をできるだけ減らし,サワラの漁獲量を増やすことが価格変動リスクの面で望ましい,ということが示唆された。</p><p>サゴシよりサワラの漁獲割合が多くなるような資源管理を行う場合,サワラは漁場・時期・組成に地域差があるので,一律の漁獲制限では利害関係者間に不均衡が生じる。</p><p>そのため,規制による一時的な減収というリスクがある中で,経営安定資金が合意形成に貢献したと考えられる。</p><p>その経済学的な意味を,リスク理論と取引費用論を元に明らかにした。その結果は,次の2点に要約される。</p><p>• 資源回復計画において所得補填が行われているが,その補填額は経済学的にみて妥当である。</p><p>• 資源回復計画の実施内容は,合意形成に伴う取引費用を削減する効果を持つものであった。</p><p>以上の分析から,サワラ資源回復計画は,我が国の共同体的資源管理に有利な資源管理の方法であることが明らかになった。特に,具体的な目標設定による企業的管理と経営安定資金の存在が,重要である。</p>

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参考文献 (18)*注記

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