カプロン酸生産菌群や乳酸菌添加による香気性豊かな米焼酎製造プロセス実用化のための実証試験

書誌事項

タイトル別名
  • Production of flavor-rich rice <i>shochu</i> with addition of caproic acid producing bacteria consortium and lactic acid bacterium in a demonstration test

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説明

香気性豊かな米焼酎製造を実用化するために,二次仕込み槽127 Lのパイロット試験装置を試作し,掛米25 kg,二次仕込み1日目にCAPBおよび乳酸培養液を加えて実証試験を行った。得られた結果を以下に要約する。<br>(1)生成エタノール濃度は二次7日目に130 g/l強に達し,その後緩やかに増加し最終的に142 g/lに達した。<br>(2)CAPBはカプロン酸だけでなく酪酸を若干生成し,また培養液に酢酸が残存していた。これらの脂肪酸は二次仕込みで一旦減少するが,カプロン酸と酪酸はその後徐々に増加し,一方酢酸は急激に増加したがその濃度は100 mg/lであった。<br>(3)エステル類は二次仕込みの経過とともに増加し,カプロン酸エチルは17日目に7.4 mg/lに達した。また,酢酸イソアミルや酪酸エチルは二次仕込み途中から生成された。<br>(4)高級アルコール類は,二次仕込み3日目で急激に増加し,その後緩やかに増加した。特にi-アミルアルコール生成量は270 mg/lと多く生成されたが,その他の高級アルコールは約100 mg/lであった。しかし,n-ブチルアルコールは約12 mg/lと低かった。<br>(5)減圧蒸留前後(最終醪,原酒)の香気成分の濃度から,際立って高かった回収率はカプロン酸エチルで,その値は325%であった。また,原酒中の高級アルコールのA/P,A/B,B/P値は,米焼酎で一般に言われる範囲内でありバランスがとれていた。<br>(6)小仕込み試験および実証試験で製造した焼酎(25 v/v%)の香気成分からOAV値を算出し,香気性豊かな米焼酎の特性を評価した。香気性豊かな米焼酎は,濃厚型白酒のような風味を持ち,りんごとバナナの香りを有しており,それと同時に酸臭はあるものの香気への影響はほとんどなかった。

収録刊行物

  • 日本醸造協会誌

    日本醸造協会誌 112 (6), 432-441, 2017

    公益財団法人 日本醸造協会

参考文献 (11)*注記

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