バタバタ茶の発酵に関与する微生物

  • 堀江 祐範
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康工学研究部門
  • 西岡 浩貴
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康工学研究部門 徳島県立工業技術センター 岐阜大学大学院連合農学研究科
  • 多田 敦美
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康工学研究部門
  • 杉野 紗貴子
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康工学研究部門
  • 水野 智文
    岐阜大学大学院自然科学技術研究科
  • 豊留 孝仁
    帯広畜産大学 獣医学研究部門
  • 岩橋 均
    岐阜大学応用生物科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Microorganisms involved in fermentation of Batabata-cha
  • バタバタチャ ノ ハッコウ ニ カンヨ スル ビセイブツ

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抄録

富山県で作られる後発酵茶であるバタバタ茶について,発酵に関与する微生物を真菌類と細菌類に分けて調査した。発酵後の茶葉から,真菌類としてAspergillus fumigatusが分離された。また,細菌類としてBacillus coagulansが分離された。真菌類を対象とした菌叢解析ではAspergillus fumigatusが最も優勢で,次いでThermomyces lanuginosusが優勢であった。Aspergillus及びThermomycesで全菌叢の85%程度を占めていた。そのほか,Saccharomyces cerevisiaeとその他の少数の真菌類が検出された。16S rRNA遺伝子による細菌類を対象とした菌叢解析では,最も優勢であったのは,Niabella terrae(23.1%)であり,次いで,Actinomadura keratinilytica(8.6%),Sphingobacterium thermophilum(8.4%),Pseudoxanthomonas taiwanensis(8.3%)およびCaenibacillus caldisaponilyticus(8.2%)が同程度を占めていた。これらの微生物が,バタバタ茶の発酵に関与すると考えられる。特にA.fumigatusT.lanuginosusは,バタバタ茶の製造において重要であろう。茶葉は発酵工程で発酵熱により70℃近くの高温となることから,好熱性または芽胞形成といった耐熱性の微生物が多く見られる傾向があった。バタバタ茶の発酵においては,発酵熱が発酵に関与する微生物選抜の重要な選択圧となっていると考えられた。そのため,安定したバタバタ茶の生産には。適切な温度管理が重要であることが示唆された。

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