学力/アチーブメント概念の「弱さ」「受動」への転回

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タイトル別名
  • Transforming The Concept of Educational Achievementinto One That Values The “Weakness” and “Pathos”of Human Beings
  • toward establishment of anew relationship between welfare and education
  • 福祉と教育の新たな関係性をひらくために

抄録

<p>近年の福祉と教育との接近,さらに言えば貧困問題の解決策として学力向上</p><p>が強調される状況の背後には,戦後日本社会における公私分離のリベラリズム</p><p>秩序の不安定化がある.これまで安定して,教育と福祉を排他的に分担してき</p><p>た学校,家庭の二大エージェントの足元がいま揺らぎ,両者は支え合いの関係</p><p>以上に共倒れの危機に直面している.こうした構図の中で要請されるのは人間</p><p>の弱さや受苦性を基盤とした新たな福祉・教育哲学であり,学力/アチーブメ</p><p>ント概念もそれに基礎づけられねばならない.</p><p> 以上の問題意識から本稿では,教育社会学等における従来までの学力概念の</p><p>問題点を明らかにした後,エーリッヒ・フロムおよびジョルジョ・アガンベン</p><p>の議論を手がかりに,学力/アチーブメント概念の転回につながる新たな福祉</p><p>・教育哲学の糸口を探った.フロムの徳としての力能や生産性,アガンベンの</p><p>非の潜勢力の概念はいずれも,受動性を基盤にしつつ,能力の形成や行使が人</p><p>間の幸福や倫理性につながることを示すものであった.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577818149395072
  • DOI
    10.11466/jws.19.0_33
  • ISSN
    21866562
    13493337
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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