カレーの加熱調理中における芽胞菌の殺菌

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  • Sterilization of <i>Bacillus</i> spores contained in the curry during heat cooking

抄録

<p>【目的】加熱調理によって多くの微生物は加熱殺菌されるが,Bacillus属やClostridium属の細菌が形成する芽胞は高い耐熱性があることが知られており,加熱調理食品の腐敗や食中毒の原因になる。演者らは,比較的芽胞を多く含むカレーをモデルとして,加熱調理における芽胞数の変化を調べた。 </p><p>【方法】牛肉・野菜類を加熱し,5種類の香辛料を加えてカレーを調製した。このカレー500 gを沸騰する湯せん上で60分間2.5分毎に混ぜながら加熱した。このときカレーの温度測定とサンプリングを経時的に行った(n=3)。香辛料の芽胞数は70℃で20分間処理後の一般生菌数とした。カレーに含まれる芽胞のD値(菌数を1/10にするのに必要な加熱時間)は,約3 gのカレーをパウチに入れて薄状にし,加熱した。加熱したカレーから生残芽胞数を求め生残曲線の傾きから求めた。D値と加熱温度の関係からZ値(D値を1/10にするのに必要な温度変化)を計算した。 </p><p>【結果】105~106 CFU/gの芽胞を含む香辛料を使ってカレーを調製し,芽胞のD値を測定したところ,D95℃は3.8分,D90℃では15.0分,D85℃は151.5分であった。Z値は,6.2℃であった。湯せん上で加熱したところ45分後に最高温度(88.2±2.1℃)に到達し,加熱終了まで90℃を超えなかった。加熱前のカレーの芽胞数(2.10×105CFU/g)は,加熱終了時の生残芽胞数(2.27×105CFU/g)とほとんど同じであった。一方,生残芽胞数を推定計算したところ,1.45×105CFU/gとなり,測定と同様にほとんど殺菌効果は期待できなかった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578902349124736
  • DOI
    10.11402/ajscs.34.0_153
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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