顆粒だしおよび調味料水溶液の加熱による鉄玉からの鉄溶出量

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  • Amount of iron elution from iron ingot by heating granule soup stock and seasoning aqueous solution

抄録

<p>【目的】令和元年国民健康・栄養調査の報告では,鉄の摂取量はほとんどの年代で推奨量を満たしていない。そこで本研究は,調理用鉄製品である鉄玉から溶出する鉄を鉄補給源として利用するために,顆粒だしおよび調味料水溶液で鉄玉を加熱した時の鉄溶出量を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】ガラス鍋に水溶液(顆粒だし:和風,鶏ガラ,コンソメ)(調味料:醤油,醤油+塩,味噌)を500 g入れ加熱した。液温が85℃になったことを確認し鉄玉を鍋に入れた。加熱時間は5,10,15分間とした。各水溶液の鉄量は1,10-フェナントロリン吸光度法で測定した。併せて水溶液のpHと総酸度測定を行った。 </p><p>【結果・考察】全ての水溶液で加熱時間と鉄溶出量に強い正の相関が見られた(p<0.01)。顆粒だし水溶液においては,コンソメ水溶液の鉄溶出量が他の顆粒だし水溶液に比べ高い傾向にあった。顆粒だし水溶液の総酸度はコンソメ水溶液が他の水溶液に比べて有意に高かった(p<0.05)。調味料水溶液においては,味噌水溶液の鉄溶出量が他の調味料水溶液に比べて有意に高かった(p<0.05)。調味料水溶液の総酸度は,味噌水溶液が他の水溶液に比べて有意に高かった(p<0.05)。 </p><p>味噌およびコンソメ水溶液の鉄溶出量が高かった要因として,味噌には醤油に比べて複数の有機酸が含まれており,またコンソメにも他の顆粒だしよりも複数のエキスや調味料が含まれているため,総酸度が高くなり鉄溶出量が高くなったと考えられた。顆粒だしや醤油・味噌水溶液でも鉄が溶出することが明らかとなったことから,調理に鉄玉を使用することで一定量の鉄摂取ができ,鉄補給源として鉄玉を利用できることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578902349218560
  • DOI
    10.11402/ajscs.34.0_95
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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