極地におけるブラックカーボンによる融解速度促進効果のシミュレーション : 漂着面積に着目して

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  • Estimation of the Black Carbon Hastening Effect on Cryospheric Melting

抄録

本研究は,PM2.5 の一種であるエアロゾルのブラックカーボンを人工生成し、光・熱放射と低温条件下でブラックカーボンの付着した氷塊の融解を解析し、極域におけるブラックカーボンの融解効果のシミュレーションを行いその影響を可視化する事を目的とする。化石燃料から発生するブラックカーボン(BC)は、他の多くの温室効果ガスと同様に、氷の反射を妨げることで地球温暖化の原因となっている。しかし、ブラックカーボンが地球温暖化に与える影響を可視化する先行研究は少ない。従って本論文では、低温条件下で自然の氷とブラックカーボンで覆われた氷の体積変化を比較し、BC によって促進される融解速度を算出する実験を行った。実験に使用したBC は、自然界におけるBC の生成要因の化石燃料と似た性質を持つベンゼンから合成したものである。氷の時間的な体積周期を計算するためにImage J(ソフトウェアアプリ)を使用し、解析にはPython 言語を使用した。その結果、BC は統計的に有意に融解速度を早めることがわかり、融解速度は次の式で表される。(氷の融解速度 ml/s) = 0.4690×BC% + 2.358×H –8.813×T -47.00.(BC%: BC 被覆率 % H:大気湿度 % T: 気温℃)また、BC の氷の融解速度促進効果は気温による促進効果よりも強いことが明らかになった。この式に気象庁による昭和基地にての気象データを入力し、南極大陸の氷の融解速度のシミュレーションと実際の氷縮小速度と比べた結果、双方に相関が見られた。

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