亜鉛製剤の長期投与中に急激な血球減少・末梢神経障害を生じた肝硬変患者の一例

書誌事項

タイトル別名
  • Patient with cirrhosis with copper deficiency due to zinc preparation overdose: a case report
  • アエン セイザイ ノ チョウキ トウヨ チュウ ニ キュウゲキ ナ ケッキュウ ゲンショウ ・ マッショウ シンケイ ショウガイ オ ショウジタ カンコウヘン カンジャ ノ イチレイ

この論文をさがす

抄録

<p>症例は50代女性.B型肝硬変,肝細胞癌に対して肝切除術後.術後15カ月頃より貧血(術前Hb10.9 g/dl→5.8 g/dl)および白血球数減少(術前7550 /μl→1160 /μl)の急激な増悪を認め,末梢神経障害も呈するようになった.全身薬物療法の施行歴はなく各種スクリーニング検査や骨髄検査を行うも原因不明であった.経過で血清銅低値,血清亜鉛高値が判明,他科にて亜鉛製剤が術後より長期処方されており亜鉛製剤による銅欠乏症と判断した.薬剤中止に加え純ココアによる銅補充を行い,術前と同程度への血球回復と末梢神経障害の改善を認めた.肝硬変患者における亜鉛補充療法は一般的となりつつあるが,亜鉛製剤は多量継続摂取により銅欠乏症の誘因になり得る.銅欠乏により生じる血球減少は鑑別が困難なことが多く,神経障害は非可逆性となる可能性がある.亜鉛製剤投与中の血清銅測定の必要性を周知する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 65 (1), 25-30, 2024-01-01

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ