頭頂部に生じた異型紡錘形細胞 / 多形脂肪腫様腫瘍の 1 例

  • 加古 志織
    名古屋市立大学医学部附属西部医療センター皮膚科
  • 小林 瑞穂
    名古屋市立大学医学部附属西部医療センター病理診断科
  • 澤田 啓生
    名古屋市立大学医学部附属西部医療センター皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of an Atypical Spindle Cell/Pleomorphic Lipomatous Tumor in the Parietal Region
  • トウチョウブ ニ ショウジタ イケイ ボウスイケイ サイボウ/タケイ シボウ シュ ヨウ シュヨウ ノ 1レイ

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抄録

<p>49 歳,男性。5 年前から頭頂部右側に疼痛を伴わない皮下腫瘤を認め,徐々に増大したため来院した。 初診時,直径 4 cm 程度の弾性軟で可動性良好な皮下腫瘤を認めた。脂肪腫などの皮下腫瘍を考え CT を施行した。CT では頭頂部右側頭蓋骨に沿って 36×38×11 mm のレンズ型の皮下腫瘤を認めた。内部は脂肪吸収値であったが,一部にやや淡い吸収値上昇を伴っていた。脂肪腫を考え局所麻酔下で全摘出術を施行した。病理組織学的には皮下に脂肪細胞を多く含んだ腫瘍を認めた。脂肪細胞は成熟した大型サイズが主体であったが,小型サイズの脂肪細胞もみられ,繊細なものから太い好酸性のロープ状の膠原線維(ropey collagen)まで膠原線維性の結合織の増生を混じていた。その中に紡錘形細胞や多彩な核を有する細胞を認めた。紡錘形細胞の核は大小不同で腫大化しており,紡錘形脂肪腫より非定型な組織像であった。免疫組織化学染色で CD34,p16 がびまん性に陽性を示し,MDM2,CDK4 は陰性であった。異型脂肪腫様腫瘍/高分化型脂肪肉腫(atypical lipomatous tumor/well-differentiated liposarcoma)との鑑別を要したが fluorescence in situ hybridization 法(FISH 法)にて MDM2 の増幅は認めなかったため,異型紡錘形細胞/ 多形脂肪腫様腫瘍(atypical spindle cell/pleomorphic lipomatous tumor)と診断した。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (6), 477-480, 2023-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (13)*注記

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