術前診断が困難であった大腿のatypical lipomatous tumor/well-differentiated liposarcoma

書誌事項

タイトル別名
  • Atypical lipomatous tumor/well-differentiated liposarcoma of the thigh that could not be diagnosed preoperatively

抄録

<p>64歳,女性。初診の3年前に左大腿の皮下腫瘤に気づいた。初診時,左大腿内側に13×10 cmの弾性軟の皮下腫瘤を触知した。MRIではT1,T2強調画像で脂肪織と同様のほぼ均一な高信号を呈し,内部に結節構造や厚い隔壁構造はなく,脂肪抑制画像でも腫瘍全体が抑制され,腫瘍内に高信号域は認めなかった。臨床および画像所見より脂肪腫と診断し摘出したが,切除標本では腫瘍内の一部に異型間質細胞や異型脂肪芽細胞が少数みられ,atypical lipomatous tumor/well-differentiated liposarcoma(ALT/WDLPS)と診断した。辺縁切除であったが,追加切除はせずに経過観察しており,術後1年7ヵ月現在で再発はない。ALT/WDLPは術前に脂肪腫と区別するのが最も困難な悪性腫瘍である。表在性のALT/WDLPの予後は良いため,近年では辺縁切除がなされていれば,急いで追加切除をせず,経過観察することも選択肢の一つである。</p>

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