難治性凍瘡と考えられていた再発性多発軟骨炎

  • 竹内 聡
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院皮膚科 九州大学大学院医学研究院皮膚科学
  • 石倉 侑
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院皮膚科
  • 米田 玲子
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院病理診断科
  • 友延 恵理
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院耳鼻咽喉科・頭頚部外科
  • 中原 剛士
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • Relapsing Polychondritis Considered as Intractable Frostbite

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抄録

<p>患者:63 歳,男性</p><p>主訴:鼻部の発赤,腫脹,熱感</p><p>既往歴:特になし</p><p>現病歴:初診の 1 年 3 カ 月前より鼻尖部の発赤を生じた。両耳介も赤かったが初冬のため凍瘡と考えていた。 夏季にも完全に軽快せず,初診 2 カ 月前より鼻部の発赤と腫脹が増悪し,前医で鼻部蜂巣炎としてミノサイクリン,セフジニル,クラリスロマイシンを内服したが難治であった。</p><p>現症:鼻尖から鼻背部,両耳介の耳輪,対耳輪上脚と同下脚にかけて熱感伴う発赤,腫脹がみられた(図 1 a c)。右耳垂には紅暈を伴う痂疲の付着があった(図 1 b)。喉頭浮腫や気管狭窄,眼症状,神経症状,弁膜症症状はなく,心電図は早期再分極のみであった。</p><p>病理組織学的所見:右耳輪部から軟骨を含めて生検した。真皮から皮下組織にかけて単核球細胞の浸潤と脂肪織の変性,線維化がみられ,軟骨周辺部は好塩基染色性が失われ好酸性に変化していた(図 2 ab)。浸潤細胞は CD3,CD4,CD8 陽性の T リンパ球,CD20 陽性の B リンパ球が主体であった(図 2 cf)。</p><p>血液検査所見(下線は異常値):白血球 4100/ul,赤血球 446 万 /ul,血色素 15.2 g/dl,血小板 18.3 万 /ul,CRP 0.03 mg/dl,AST 28 U/l,ALT 27 U/l,クレアチニン 0.87 mg/dl,BUN 20 mg/dl,抗Ⅱ型 コラーゲン 抗体 25.9 EU/ml(陰性:<20,境界:20~25,陽性:>25),リウマチ 因子 5.8 IU/ml,抗核抗体<40 倍,抗 dsDNA 抗体<10 IU/ml,抗 Sm 抗体 2.0 U/ml,PR3-ANCA<1.0 U/ml,MPO-ANCA<1.0 U/ml</p><p>診断:再発性多発軟骨炎</p><p>治療および経過:プレドニゾロン(PSL)15 mg/ 日内服開始 2 週間で症状は鼻尖部の紅斑を残しほぼ消退し,その後もPSL は 3 週間継続し以降は同 10 mg,同 7.5 mg,同 5 mg,同 5/2.5 mg 隔日,同 2.5 mg/ 日と 4~5 週間毎に漸減し,以降同 2.5 mg/ 日隔日を 4 カ 月,一時 PSL 2.5 mg/ 日連日を 4 週間,PSL 2.5 mg/ 日隔日を 7 週間,1 mg/ 日隔日内服を 8 週間と計 1 年 4 カ 月かけて漸減し,終了した。PSL 内服終了後 4 年 9 カ 月時点で症状の再燃はない。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (1), 1-2, 2024-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (1)*注記

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