ボリコナゾール長期内服中の免疫抑制患者に生じ,予後不良であった有棘細胞癌の 2 例

  • 中山 優香
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院皮膚科
  • 石倉 侑
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院皮膚科
  • 竹内 聡
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院皮膚科 九州大学大学院医学研究院皮膚科学
  • 阿南 健太郎
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院形成外科
  • 舟橋 ひとみ
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院形成外科
  • 松本 大輔
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院形成外科
  • 玉江 昭裕
    国家公務員共済組合連合会 浜の町病院耳鼻咽喉科・頭頚部外科
  • 中原 剛士
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • Two Poor Prognostic Cases of Squamous Cell Carcinoma Occurring in Patients Under Long-term Voriconazole and Immunosuppressive Treatment
  • ボリコナゾール チョウキ ナイフク チュウ ノ メンエキ ヨクセイ カンジャ ニ ショウジ,ヨゴ フリョウ デ アッタ ユウキョク サイボウ ガン ノ 2レイ

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説明

<p>症例 1 は 67 歳,男性。当科初診 5 年前に骨髄異形成症候群に対し同種造血幹細胞移植をし,ボリコナゾール(VRCZ)を内服していた。4 カ 月前から頭頂部に生じた有棘細胞癌(SCC)に腫瘍切除と分層植皮,術後放射線照射を行ったが,右頚部リンパ節転移及び局所再発した。5 カ 月後に頭蓋骨外板含めた拡大切除,右側頚部リンパ節郭清と耳下腺を摘出し,皮弁形成と全層植皮で再建した。再手術 25 日後に SCC の肝転移が判明し,1 年 5 カ 月後に SCC で死亡した。症例 2 は 77 歳, 男性。当科初診 13 年前に急性リンパ性白血病で臍帯血移植後,8 年前より肺アスペルギルス症で VRCZ を内服していた。1 年前より頭頂部に生じた疣贅状皮疹から転じた SCC で,腫瘍切除と人工真皮植皮を行った。術後は創部感染を繰り返し,6 ~7 カ 月後に頭蓋骨外板を含めた拡大切除と分層植皮を行ったが,術後は次第に体力が低下し,10 カ 月後に急性腎不全,基礎疾患により死亡した。VRCZ による光線過敏症と SCC 発症の本邦報告は未だ少ないが,SCC の侵襲度が高く予後不良例も多い傾向である。VRCZ 長期内服患者は基礎疾患も多彩で,高齢,免疫抑制状態など発癌リスク・予後不良因子を併せ持つ患者が多く,遮光指導,定期的な皮膚観察に加え,SCC の病期進行前の早期発見が重要と思われる。今回 VRCZ の長期内服中に生じ,予後不良であった SCC の 2 症例を本邦既報例と併せ報告する。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (1), 55-61, 2024-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (12)*注記

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