北海道足寄町における伝統的な樹木の名前と利用法およびその知識の消失

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  • 内海 泰弘
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座
  • 古賀 信也
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • The loss of traditional names, usage, and knowledge of trees in Ashoro town, Hokkaido
  • ホッカイドウ アショロマチ ニ オケル デントウテキ ナ ジュモク ノ ナマエ ト リヨウホウ オヨビ ソノ チシキ ノ ショウシツ

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抄録

北海道十勝地方への入植者の子孫で,足寄町に居住し,年齢および従事期間の異なる林業従事者の樹木利用文化について聞き取り調査を行い,樹木利用文化とその消失過程を検討した。その結果,高齢の林業従事者ほど樹木名とその木材の利用方法に関する知識を持っていた。また比較的若い年齢の林業従事者でも,薪を利用した生活を営んでいる林業従事者は,化石燃料を利用している林業従事者よりも各樹種の木材の材質に関する知識が豊富であった。一方でアイヌ語に由来する樹木名は認められなかったことから,アイヌ文化との直接的な関係は確認できなかった。なお, 最年長のM氏は子供時代にアイヌの人々を子供も含めてよく見かけたと話していたが,和人とアイヌとの木材利用文化の交流は認められなかった。足寄における木材利用の伝統的文化は木材を利用する機会が減るに従い急速に失われていることが示唆された。

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