日本人における静脈血栓塞栓症の実態

  • 廣松 伸一
    久留米大学医療センターフットケア・下肢血管病センター

書誌事項

タイトル別名
  • Current Status of Venous Thromboembolism in Japanese

抄録

<p>日本人における静脈血栓塞栓症(VTE)の実態を政府が公表しているNational Databaseのオープンデータとe-Statを用いて検討した.1995年から2021年までの肺塞栓症(PE)による年間死亡数の平均値は1741.1±31.1人で2011年が2034人と調査期間では最大であり,東日本大震災の関連が考えられた.直接経口抗凝固薬(DOAC)時代の2014年から,下大静脈フィルター(IVCF)留置は,減少傾向にあったが,抜去した症例は50%程度であった.肺動脈塞栓除去術の件数は増加傾向にあり,IVCF留置症例の減少と相反する傾向であった.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)による指定難病受給者は,漸次増加し2021年では2014年の約2倍に増加したが,肺動脈血栓内膜摘除術は増加傾向ではなかった.腸骨大腿静脈血栓摘除術は減少傾向にあり2021年は1例もなかった.本邦は,がん関連静脈血栓塞栓症(Cancer-VTE)が約30%を占めており,低分子ヘパリンが使用できない日本において,すべてのDOACに非弁膜症性心房細動と同様の減量基準が使用できることが望まれる.</p>

収録刊行物

  • 静脈学

    静脈学 35 (1), 75-82, 2024-04-27

    日本静脈学会

参考文献 (16)*注記

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