新参者が大学院ゼミの質疑応答活動にどのように参加しているか

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書誌事項

タイトル別名
  • How newcomers participate in the question-and-answer activities of graduate school seminars
  • ある中国人留学生への縦断的調査から見えてきたもの
  • A longitudinal study of a Chinese international student

抄録

本稿は文系大学院のゼミナールを取り上げ,そこで行われる質疑応答という言語活動に焦点を当て,新参者がその活動にどのように参加し,どのような困難と出会い,どのように困難を乗り越え,活動参加を深めてきたかを,ようさんという中国人留学生・ゼミ新参者の事例を通して明らかにしたものである。筆者は協力者の同意を得て,毎週のゼミの後に,ゼミ参加の感想や気になった事について半構造化インタビュー(計19回)を実施した。また,途中1回の参与観察を行った。調査結果の分析は狭義のKJ法を援用し,集めた定性的データからラベルづくり,グループ編成,図解化,叙述化の4つのステップを順次に踏んでいった。その後,時間軸に従い,各概念間の関係性に留意しながら,ようさんの1年の活動参加に関する11個の概念を抽出した。その11個の概念を踏まえ,考察を行った結果,「共有されたレパートリーの獲得」,「コミュニティで成長したいという願い」,「参加ルールの更新と多重的なアイデンティティの形成」の3点がようさんの参加姿勢に変容をもたらした要因であるとの結論に至った。最後に,事例研究としての本稿の意義,今後の展開,及び言語教育への示唆について述べた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712967232896
  • NII論文ID
    130007384524
  • DOI
    10.14960/gbkkg.15.153
  • ISSN
    21889600
    21887802
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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