チリメンウミウシとサラサウミウシのさまざまな生物学的相違

  • 関澤 彩眞
    Department of Biology and Geosciences, Graduate School of Science, Osaka City University
  • 山梨 津乃
    Department of Marine Science and Resources, College of Bioresource, Sciences, Nihon University
  • 中嶋 康裕
    College of Economics, Nihon University

書誌事項

タイトル別名
  • Biological Differences between <i>Chromodoris reticulata</i> and <i>Chromodoris tinctoria</i> (Opisthobranchia: Nudibranchia)
  • Biological Differences between Chromodoris reticulata and Chromodoris tinctoria (Opisthobranchia: Nudibranchia)

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説明

<p>歯舌の形態や配列はウミウシを分類する上で重要な形質だと見なされてきた。しかし,歯舌を調べるには解剖が不可欠なため,生きた個体を同定するには歯舌の情報は利用できない。一方,外套膜の色彩パタンは個体間に大きな変異が認められることから,種を同定する形質としての信頼性は疑問視されてきた。そこで,よく似た色彩パタンを持ち,同種だと混同されることもあるチリメンウミウシChromodoris reticulataとサラサウミウシChromodoris tinctoriaのさまざまな形質を比較したところ,からだ全体の輪郭,触角,二次鰓,ペニス表面の棘,胚や卵殻の形成様式など外部および内部形態,配偶行動にかなりの違いが認められた。また,これらの形質と外套膜の色彩パタンとの間には一貫した相関があった。交配実験では,両種の個体とも配偶しようと試みたが,ペニスを挿入する前に交尾を中止した。これらの結果は,少なくとも一部のウミウシでは,外套膜の色彩パタンは種の同定において信頼できる形質であり,生態学的な研究に利用できるとする考えを支持している。</p>

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