幼児における多義図形認知の発達:図形の解体と再構成の経験が自発的反転に与える効果

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Understanding of Ambiguous Figures in Young Children: Effects of Figure De-construction and Re-construction on Children's Spontaneous Reversal of Interpretations
  • ヨウジ ニ オケル タギ ズケイ ニンチ ノ ハッタツ : ズケイ ノ カイタイ ト サイコウセイ ノ ケイケン ガ ジハツテキ ハンテン ニ アタエル コウカ

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説明

<p>幼児は多義図形の反転認知が困難であることが知られている。本研究では,3~5歳児を対象に,①幼児は何歳ぐらいから多義図形の反転が可能になるか,②図形の刺激特性の違いによって反転困難度に違いが生じるか否か,③図形を一旦解体し別の対象として再体制化する過程を経験することによって,最初の見え方から別の見え方への自発的切り替えが促進されるか否か,の3点を調べることを目的として実験を行った。結果は,図形の如何にかかわらず3歳児は1つの見え方しか報告できないが,5歳児になると,図形の違いが反転の困難度に影響するものの,多義図形の2通りの見えを自発的に反転できるようになった。また,図形の再体制化の経験の効果に関しては,3,4歳児では一旦は別の見えを報告できるようになるにもかかわらず,自発的に2通りの見えを反転できるには至らなかった。但し,4歳児では以前自分が報告した見えを想起喚起させれば,2通りの見え方を報告することが可能であった。3歳児はそれでも報告できない傾向がみられた。これらの結果を踏まえて,多義図形の2通りの見えを実在そのものと異なる主観的経験としてメタ表象的に理解できるようになることが,その自発的反転を可能とする条件である可能性について議論した。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 28 (2), 74-83, 2017

    一般社団法人 日本発達心理学会

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