肝胆道系悪性腫瘍との鑑別に苦慮した多発肝膿瘍の1例

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  • Multiple liver abscess simulating hepato-biliary malignant tumor : a case report

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抄録

<p>肝膿瘍と肝胆道系悪性腫瘍は画像診断のみでは鑑別が困難な場合が多い。症例は90歳代男性。2日前からの倦怠感を主訴に当施設を紹介受診した。初診時のバイタルサインの異常は頻脈のみで, 発熱はなかった。血液検査では, 血小板数減少, 腎・肝機能障害, 炎症反応高値, 乳酸値の上昇があり, 造影CTでは肝右葉に多房性腫瘤影が散在し, 不均一な胆管壁肥厚と肝内胆管の拡張も認めた。多発肝膿瘍や肝内胆管癌などを鑑別にあげたが, 後者を否定できずドレナージは行わず広域抗菌薬によるエンピリック治療を先行した。入院後, 多臓器障害が進行し第3病日に死亡した。病理解剖では悪性所見は認めず, 多発肝膿瘍と確定診断した。悪性腫瘍と肝膿瘍の鑑別に難渋した場合は診断的治療として穿刺ドレナージを考慮すべきである。</p>

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