現代観光と情報メディアの親和性に関する理論的考察

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タイトル別名
  • Theoretical Study on Affinity of Information Media for Modern Tourism
  • ゲンダイ カンコウ ト ジョウホウ メディア ノ シンワセイ ニ カンスル リロンテキ コウサツ

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抄録

小論は、現代社会が情報メディア化の度を深めることでその存立機制を変容させてきたこと、その変容が観光経験の変容の重要な背景要因であったことを、情報社会/メディア論と観光論の比較考察を通して原理的に明らかにする試みである。<br> マスメディアによる観光地情報やイメージの流布が70年代の前半に隆盛をみたあと、情報ネットワーク化が—消費主義などと連動して―浸透した結果、実際の場所のリアリティを直接伝えてきた従来の人々の繋がりは衰弱し、メディアは場所に関する代替コンテクストの生成・提供機能を担うようになった。現代観光とメディアの親和性の基盤の一部はここにあると考えられる。その帰結としてのメディアコンテクストの自律化は、2000年代、ご当地ブームなどの観光現象を生み出した。しかし一方で、情報ネットワーク化の進展は、こうした変容への抵抗としてオルタナティブ・ツーリズムの成立を可能とした。こうした両者の相互関係は現在のスマートツーリズムのような新たな場所観光を可能にし、現代社会のリアリティ構造再考の最先端領域を生み出している。

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