新規物理化学制御機構が1,000億個の血小板作製を可能にする

  • 中村 壮
    京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門
  • 江藤 浩之
    京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 千葉大学大学院医学研究院 イノベーション再生医学

書誌事項

タイトル別名
  • Novel physico-chemical regulation mechanism enables the production of 100 billion platelets
  • 学会奨励賞受賞論文 新規物理化学制御機構が1,000億個の血小板作製を可能にする
  • ガッカイ ショウレイショウ ジュショウ ロンブン シンキ ブツリ カガク セイギョ キコウ ガ 1,000オクコ ノ ケッショウバン サクセイ オ カノウ ニ スル

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抄録

<p>iPS細胞由来血液製剤はソースを選ばずに作成可能なことから,稀な血液型に対しても供給できることが期待されている。血小板製剤の場合,製剤10単位分(約2,000億個)の血小板をいかにして作製するかが大きな課題である。この課題解決のため,我々はiPS細胞由来巨核球を不死化細胞株として量産化する技術を開発した。また,マウス骨髄内の血小板造血の場で流体物理因子“乱流”が関与していることを発見し,大量培養に応用することで8 Lバイオリアクターから5単位分の止血機能を有する血小板を得ることに成功した。さらに,バイオリアクター内の血小板産生の作用機序においては,乱流刺激を受けた巨核球細胞株から放出された生理活性物質とせん断応力が血小板産生を促進することが示唆された。本研究は,現在の輸血医療に残る血液供給の問題点を解決する新たな可能性を提示するとともに,血小板産生に関与する新たなメカニズムを明らかにした。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (6), 628-633, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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