シグナスオートLIPに対して高TG血清が与える影響の解明

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Elucidation of effect of serum with high TG concentration on lipase concentration measured using Cygnus Auto LIP

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】リパーゼは急性膵炎診断における感度,特異度が非常に高く,臓器特異性に優れており,急性膵炎診断ガイドライン2015にて測定が推奨されている。近年,膵リパーゼに対して特異的に反応する合成基質1,2-o-dilauryl-rac-glycero-3-glutaric acid-(6-methyl-resorufin)-ester(DGGMR)を用いたリパーゼ測定試薬が開発された。「シグナスオートLIP」は,試薬ロット間差が少なく,分析装置内での試薬安定性が優れ,日常検査の省力化に有用だが,トリグリセライド(TG)の影響を受け負誤差になると報告された。我々は,TGがリパーゼ測定値に与える影響の程度及びその要因を明らかにすることを目的とし検討を行った。【方法】TGの影響を受けないリキテックリパーゼカラーIIと本法及びTG値の関係を検討した。次に脱脂処理前後のリパーゼ活性を測定し,その変化量とTG及び各脂質分画の関係を検討した。【結果】本法による脱脂処理前後のリパーゼ活性変化率とTG値は有意な負の相関を認め(r = −0.867, p ≤ 0.001),TG 400 mg/dL未満では負誤差15%以内であったが,TG 400 mg/dL以上では平均19%であった。VLDL-TG値と最も強い相関(r = −0.892, p ≤ 0.001)があり,カイロミクロン値も有意な相関を認めた。また,ルーチン検査においてリパーゼ測定依頼検体に高TG血症は少なかった。【考察】リポ蛋白の粒子径に起因した競争阻害が負誤差の要因として考えられた。また,臨床に影響を及ぼす検体は少ないと示唆されるが高TG血症,特に高VLDL,高カイロミクロン血症では,リパーゼ活性値に負誤差を与える影響が大きく,結果報告には注意が必要である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 69 (3), 360-365, 2020-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ