<p>本研究は,中学校理科の気象単元を対象として,異なる分野や内容を関連付ける学習指導の効果について明らかにすることを目的としたものである.本単元の学習内容である「雲のでき方」について,中学校3年生を対象とした事前調査では,そのメカニズムを正確に説明できない実態が明らかとなった.特に,気圧の変化とそれに伴う体積や気温の変化を説明できる生徒はわずかであった.この結果を踏まえ,「粒子の動き」と「熱力学」の知識を関連付けて「雲のでき方」を捉えることを目指すカリキュラムをデザインし,授業を実践した.結果として,教科書の文脈に沿った授業実践を行った統制群は,事前調査の結果と類似した結果であったことに対し,実験群では,多くの生徒が事前調査で課題として明らかになった気圧の視点を含めて,「雲のでき方」を説明することができた.実験群の生徒の特徴として,知識を関連付けて思考することが効果的であり,気象現象を捉えようとする際には,意図的に「粒子の動き」と「熱力学」の両視点から思考していたことがあげられる.</p>
Proceedings of the Annual Meeting of Japan Society for Science Education 44 (0), 487-490, 2020
Japan Society for Science Education