微細構造レベルの比較形態解析と分子データに基づく緑藻クロロモナス系統群の種分類学的研究

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タイトル別名
  • Taxonomic studies of the species within the <i>Chloromonadinia</i> clade (Volvocales, Chlorophyceae), based on the comparative morphological analyses at the ultrastructural level and molecular data
  • ビサイ コウゾウ レベル ノ ヒカク ケイタイ カイセキ ト ブンシ データ ニ モトズク リョクソウ クロロモナス ケイトウグン ノ タネ ブンルイガクテキ ケンキュウ

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抄録

<p>微細藻類の種分類を進める上で,培養株を用いた詳細な比較形態解析と分子系統解析は重要である.筆者は形態的,生理的に多様な種からなるクロロモナス系統群(緑藻綱,ボルボックス目)に着目しており,本系統群に対して,微細構造レベルの比較形態解析と分子データに基づく種レベルの分類学的研究を実施してきた.Chloromonas reticulata およびその類似種を用いた研究では,光学顕微鏡下では栄養細胞のよく似た種であっても,葉緑体中のピレノイドや眼点の微細構造でそれらを種レベルで区別できることを報告した.一方,クロロモナス系統群内の氷雪藻グループに位置する種では,接合子の形態情報が種レベルの分類形質として重要視されていたが,培養株を用いて接合子の形成 (有性生殖)を実験的に誘導することは困難だった.そこで,19 培養株を用いた比較形態解析と分子系統解析を実施した結果,栄養細胞形状や葉緑体の形態,更には無性生殖時に形成される娘細胞の数や長期培養時における細胞集合体の有無により,それらを12種として識別できることを示した.更に,筆者らは野外サンプル中の氷雪藻グループの接合子から,複数 DNA 領域の塩基配列データを獲得可能な手法を開発した.得られた配列データに基づく詳細な分子同定の結果,形態データからC. brevispinaおよびC. nivalisの接合子とされていた日本産サンプルの一部が,実際には氷雪藻グループの異なる種に帰属することを明らかにした.また,分子データで正確に種を識別した接合子の電界放出型走査電子顕微鏡観察により,接合子壁表面にみられる微細構造が種レベルの分類形質である可能性が示唆された.</p>

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