水害・土砂災害避難伝達文の言語学的分析

書誌事項

タイトル別名
  • Linguistic Analysis of Water/landslide Disaster Warnings
  • スイガイ ・ ドシャ サイガイ ヒナン デンタツブン ノ ゲンゴガクテキ ブンセキ

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抄録

<p>本稿は、56の自治体の水害・土砂災害避難伝達文を集め、避難準備文・避難勧告文・避難指示文に分類し、文と文節の数、依頼文・命令文、単文・重文・複文・名詞修飾節・受動態の数、伝達文に含まれる情報の種類について分析した結果をまとめたものである。調査の結果、以下の点が明らかになった。1)平均5文、30~34文節で1つの伝達文を構成する。2)準備から勧告・指示へと緊急性が増すにつれて、重文・複文の平均数が多くなり、緊急性と構文の複雑さに相関関係が見られる。津波避難伝達文と比較すると水害・土砂災害避難伝達文の方が言語量が多く、統語的にもより複雑である。3)「避難してください」「警戒してください」など聞き手に期待する避難行動を、ほとんどの場合「~てください」という依頼文で表現する場合が多く、「~せよ」や「~指示する」などの命令文の表現は少ない。4)発信元、受信者、緊急性を示す用語、避難場所、災害の危険性、期待される避難行動などの情報が伝達文に含まれている。これらの結果を踏まえ、冗長な表現を削除し、複文や重文は単文に代えるなど、聞き手にとって理解しやすい文を主眼にした提案を行った。また、災害時の切迫した状況では、迅速な避難を促すよう命令表現を使用する、地域や避難所を特定する表現を使う、地域のニーズに合った情報の取捨選択など、伝達文の内容に関しても提言を行った。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 15 (1), 17-27, 2017

    日本災害情報学会

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