発達神経毒性ポテンシャルのスクリーニングとしての短期in vivo甲状腺ホルモン影響評価法の開発:propylthiouracilおよびphenobarbitalの影響検出評価 I. 母動物と胎児に対する影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a short-term <i>in vivo</i> assay for thyroid hormone disrupting activity in maternal rats and their fetuses/pups as prescreening for potential developmental neurotoxicity: Propylthiouracil and phenobarbital examples. I. Findings in maternal rats and their fetuses

抄録

<p>【目的】</p><p>甲状腺ホルモン(TH)は脳発達に必須と言われており、母親の血中THが過度に低下した際に児に脳発達障害が起きることがヒトや実験動物で報告されている。一方、肝酵素誘導の二次的影響として血中THを軽度に低下させる化学物質が散見されるが、これらの児脳発達への影響は明らかでない。そこで、脳発達障害の前段で生じる脳中THへの影響を調べる簡便なスクリーニング試験の開発が望まれる。我々は、米国環境保護庁が提唱する母ラットと児ラットの血中TH濃度比較試験Comparative Thyroid Assayを用い、児の脳のTH濃度や病理組織を追加観察する試験系の検証に着手した。今回、TH合成阻害剤propylthiouracil(PTU, 10 ppm)および肝代謝酵素を誘導するphenobarbital(PB, 1000 ppm)を一群当たり10匹のCrl:CD(SD)ラットの雌に妊娠6日から妊娠20日まで混餌投与した後、帝王切開し、母動物と胎児についてTH濃度を含む各種影響の有無を調べた。</p><p>【結果および考察】</p><p>PTU群では、母動物と胎児とも同程度に血中THは有意差を伴って顕著に低下し、胎児の脳中THも雌雄とも同程度に低下した。PB群については、母動物で期待された肝臓影響(重量増加、肝細胞肥大、UDPGT活性誘導)が認められ、それに起因したと考えられる血中THの軽微な低下が認められた。一方、胎児では、肝Ugt mRNAは有意に増加したが、概して血中および脳中のTHに有意な低下はみられなかった。両化合物ともに胎児の脳組織には病理検査では異常はなかった。以上、本試験系において母動物へのPTU投与によって妊娠20日の胎児で期待されたTH低下が検出されたが脳組織には異常はなく、またPB投与では胎児には明確なTH低下影響はみられなかった。今後、PBに関して再現性やより高用量での影響を確認する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390851961199049472
  • NII論文ID
    130008073624
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_o-36
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ