ポリペプチド系抗菌薬による腎毒性発現機構の解明

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タイトル別名
  • Elucidation of the mechanisms of renal toxicity caused by polypeptide antibiotics

説明

<p> コリスチンは、緑膿菌や大腸菌などのグラム陰性桿菌に対して優れた殺菌作用を示すポリペプチド系抗菌薬である。近年、コリスチンは多剤耐性グラム陰性桿菌に対しても効果を発揮する抗菌薬として特に注目されており、実際にWHOによってヒト臨床医療で最も重要な薬剤として位置づけられた。しかし、コリスチン投与によって頻発する腎機能障害が大きな障壁となり、臨床での使用が制限されているのが現状である。従って、コリスチンによる腎機能障害発症メカニズムの解明は急務の課題である。</p><p> 薬剤性腎障害の発症には細胞膜の崩壊を伴う炎症性細胞死の寄与が知られていることから、我々は炎症誘導に中心的役割を果たすマクロファージに着目し、コリスチンが惹起する炎症反応の解析を行った。マクロファージにおいて、コリスチンはパターン認識受容体の一種であるNLRP3を活性化することで炎症を惹起していることが判明した。NLRP3は、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体を形成することで炎症性サイトカインIL-1βの分泌を促進する。特に、NLRP3インフラマソームの過剰活性化は、多種多様な炎症性疾患の発症に関与していることから、コリスチンがマクロファージにおけるNLRP3インフラマソームの過剰活性化を惹起し、これが腎機能障害のトリガーになっていることが示唆された。さらに、コリスチンはNLRP3インフラマソームの活性化とは別の機構によってネクローシスを誘導し、それに伴い炎症増幅因子として近年注目されている核内タンパク質HMGB1の細胞外放出を促進することが判明した。以上の結果から、コリスチンはIL-1βとHMGB1という2つの炎症増幅因子の放出を同時に促進し、相乗的に炎症を惹起することが初めて明らかとなった。本研究成果は、コリスチンによる副作用リスクを軽減し、臨床における使用の拡大を目指す上での重要な分子基盤となることが期待される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390851961199607424
  • NII論文ID
    130008073631
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-120s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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