リン酸エステル化セルロースナノファイバーの遺伝毒性

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タイトル別名
  • Genetic toxicity of phosphorylated cellulose nanofibrils

抄録

<p>軽量で高強度、低熱膨張性等の特徴を有するセルロースナノファイバー/セルロースナノフィブリル(CNF)は、新材料として期待される一方、繊維状で超微細な特性を持つことから、発がん性のリスクも懸念されている。本研究では、細菌復帰突然変異試験(Ames試験)、in vitro染色体異常試験、ラット赤血球小核試験を実施し、化学修飾により作製されたリン酸エステル化CNFの遺伝毒性を評価した。CNFは、粘度が時間経過やせん断速度とともに変化することから、CNFの繊維長計測やレオロジー測定などを行い、その特性を確認しながら分散調製した。Ames試験では、陰性対照群の2倍以上のネズミチフス菌および大腸菌の復帰変異コロニー数の増加は認められず、当該CNFは試験菌株に対して遺伝子突然変異誘発性を示さない(陰性)と判定した。in vitro染色体異常試験では、CNF処理群のいずれの処理法においても、染色体構造異常および倍数性をもつCHL/IU細胞の出現頻度は、陰性対照群と比較して統計学的に有意な増加は認められず、当該CNFは染色体異常を誘発しない(陰性)と判定した。ラット赤血球小核試験では、1日1回、2日間連続で当該CNFをラットに気管内投与し、最終投与後24時間に摘出した大腿骨の骨髄細胞の小核幼若赤血球出現頻度により、染色体異常誘発性の有無を確認した。CNF群において各陰性対照群と比較して統計学的に有意な小核多染性赤血球の出現頻度の増加は認められなかった。多染性赤血球の割合についても、各陰性対照群と比較して統計学的に有意な減少は認められず、当該CNFはラット骨髄細胞に対して小核誘発性を示さない(陰性)と判定した。以上3種の遺伝毒性試験の結果、本研究に供試したリン酸エステル化CNFは、遺伝毒性を示さない陰性と結論した。本発表は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法」の結果から得られたものである。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390851961199621504
  • NII論文ID
    130008073721
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-30
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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