広島県の家庭料理 行事食の特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Hiroshima Prefecture home cooking: event foods
  • Seeing local characteristics in event foods
  • −行事食にみる地域特性−

抄録

<p>【目的】昭和30〜40年頃までに定着していた地域の郷土料理と,その暮らしの背景を明らかにするため,平成24〜25年度に日本調理科学会特別研究として実施した「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」調査,および補充調査から得られた広島県の行事食の地域特性について報告する。</p><p>【方法】広島県内を東部台地,福山地域,尾道・三原地域,芸北山間地域,瀬戸内沿岸地域,西部地域,中部台地,備北山間部の8地域に区分し,平成24〜26年度に調査を実施した。また,平成27年度には日本の家庭料理の編集上、追加調査も行った。</p><p>【結果】行事食は正月雑煮、ひな祭り、端午の節句、彼岸、祭りに手作りの料理が振る舞われていた。正月雑煮は直煮の丸餅を使用したすまし仕立てであった。野菜の他に家庭によって、鰤、蛤、牡蠣、穴子、鶏肉、豚肉、するめ、豆腐が用いられた。来客時には専ら、ちらし寿司が季節の具材を用いて調理されていた。「ばら寿司」の呼称が最も多く、「もぐり」「もぶり」とも称された。また、角寿司、一合寿司などの押し寿司も作られていた。東部台地のあずま寿司、備北山間部の鮗寿司は、酢飯の代わりにおからが用いられた。寿司以外に「八寸」と呼ばれる煮物も行事に欠かせない一品であった。特徴的な行事には、1月の「御逮夜」、4月の花見、6月の「代満て」が挙げられた。御逮夜には浄土真宗が多い県西部地域では、小豆の入った「煮ごめ」が食されていた。花見は一部地域を除いて、重箱に巻き寿司などを詰めた花見弁当を食べる慣習があった。代満ては、「さんばいさん」「どろおとし」と地域によって呼称は異なるが、おはぎや餡を用いた餅、ちしゃもみが食されていた。収穫を祝う秋祭りには福山地域で「うずみ」を食す習慣があった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390852252714510208
  • NII論文ID
    130008085632
  • DOI
    10.11402/ajscs.32.0_177
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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