滋賀県の家庭料理 行事食の特徴
書誌事項
- タイトル別名
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- Shiga Prefecture home cooking: event foods
抄録
<p>【目的】滋賀県には、縄文時代晩期から弥生時代にかけての稲作遺跡が複数出土しており、数千年間にわたり稲作を中心とした農業と琵琶湖漁業を核とした生活が営まれてきた。古くから政治・文化の中心地あるいは近隣地となり、交通の要衝でもあり、乱世には争いの舞台になることが多かった。現在も神社や仏閣が数多く残り、様々な神事や祭り、行事が営まれている。これらは人々の結束を高めるとともに憩いと楽しみでもあったと考えられる。本研究では、様々な人生儀礼や暦的儀礼に関わる特徴的な料理について全県的に調査を行い、その特徴を整理した。</p><p>【方法】平成25〜27年にかけて、滋賀県の食文化の特徴について、全県的な調査を日本調理科学会特別研究の一環として実施した。調査方法は主に聞き取り法で行った。</p><p>【結果】滋賀県では人生儀礼、暦的儀礼の行事が丁寧に執り行われていて、各行事の料理には、地域の特徴がよく残っていた。特に琵琶湖を抱える滋賀県では神事や慶事に湖魚のナレズシが神饌となり、客呼びのご馳走となっていることが大きな特徴であった。ナレズシにはフナズシを始めとして、ハスズシ、ウグイズシ、オイカワズシ、モロコズシ、アユズシ、ドジョウズシまであり、各家、地域で仕込まれていた。また滋賀は内陸県であるが、若狭湾からサバ、伊勢湾からブリなどの海産魚が祭事に登場していた。神事・祭りの料理には、農産物を主役にしたものも多く、餅や団子、おこわ、すし、その他、大豆の打ち豆や田楽、里芋などがよく登場していた。人生儀礼においては、慶事の餅や団子、赤飯、弔事の座禅豆、豆腐汁、葬式菜や塩切なすの煮物などが伝わっていた。人々が工夫を重ねて各種行事を伝え継いでいる様子を聞き取ることができた。</p>
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 32 (0), 172-, 2021
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390852252714901120
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- NII論文ID
- 130008085625
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可