日本における有機農産物市場の変遷と消費者の位置付け

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  • Changes in Japan’s organic produce market and consumer positioning
  • ニホン ニ オケル ユウキ ノウサンブツ シジョウ ノ ヘンセン ト ショウヒシャ ノ イチズケ

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説明

<p>本稿の課題は,日本における有機農産物市場の規模の推移を推測することと,有機農産物市場の展開に伴う性格変化について考察することである.過去の複数の推計から,減農薬・減化学肥料栽培の農産物やそれに由来する加工食品の市場規模は90年代前半で1,000億~2,000億円,90年代後半で2,000億~3,000億円,2009年時点で6,000億~7,000億円程度の規模で推移したと推測される.有機農産物市場の拡大に伴い消費者の購買先はスーパーにシフトしており,消費者の位置付けは,全体としては有機農業運動の担い手から有機農業を支持する組織会員へ,さらに組織的な関わりを持たず有機農産物を購買する消費者へとシフトし,生産者と消費者の乖離も進んでおり,有機農産物市場は商業的性格を強めていると言える.しかしながら,運動的性格や生産者と消費者の関係性を持つ流通も併存しており,生産者における有機農産物の販売条件が維持されていることから,有機農産物市場が性格を大きく変化させるには至っていないと言える.今後の有機農産物市場の性格変化の一つの鍵となるのが消費者の動向であり,有機農業が健全に発展していくための条件の検討が求められる.</p>

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