日本の高齢者居住政策の歴史と自治体による公営コレクティブハウジングの事業化

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タイトル別名
  • The history of "Dwelling" policy for the elderly in Japan and the public collective housing scheme by local governments
  • ニホン ノ コウレイシャ キョジュウ セイサク ノ レキシ ト ジチタイ ニ ヨル コウエイ コレクティブ ハウジング ノ ジギョウカ

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説明

本稿は、2000年代初頭自治体による公営コレクティブが事業化へと至った政策的背景を明らかにし、コレクティブという暮らし方が高齢者居住政策にとってどのような意味を持ったのかを考察する。政策的背景を考えるにあたっては、1970年代後半から1990年代後半までの高齢者居住政策を3期に分けて整理し、それぞれの時期が2000年代初頭の公営コレクティブの事業化にどのような影響を及ぼしたのか考察した。その結果、第Ⅱ期と第Ⅲ期が公営コレクティブの事業化を考える上で重要であることが明らかとなった。第Ⅱ期では高齢者居住政策としてシルバーハウジング制度の活用が国から自治体に推奨され、第Ⅲ期では自治体独自の高齢者居住政策の展開が可能になったことに加え、震災復興公営コレクティブの事業化が高齢者居住の新しいモデルとして注目を集めた。これらのことが2000年代初頭という時期に自治体によって相次いで公営コレクティブが事業化されたことへと結び付いていったと考えられる。このようなコレクティブという暮らし方が高齢者居住政策の選択肢の1つとして加わったことは、高齢者居住政策にとって重要な意義があったように思われる。なぜなら、高齢者自身に自らの暮らしを考え、家族以外の他の居住者や近隣住民との共同生活を選択することを可能にさせたからである。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 33 15-26, 2012-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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