<論説>スキタイ式轡の系譜

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タイトル別名
  • <Articles>The Genealogy of the Scythian Bridles
  • スキタイ式轡の系譜
  • スキタイシキ クツワ ノ ケイフ

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抄録

ザカフカスからドニエープル河流域に至るスキタイの領域より出土した青銅製・鉄製轡をスキタイ式轡と呼び、その型式分類を行った。銜を五型式、鑣を八型式に分類し、各々の変化の方向をたどると、銜・鑣に見られる型式の相違は時間の経過に伴うものであることが理解できた。さらに、銜と鑣とが組み合った轡として捉えてみても同様な状況を示した。そこで、銜を基準に編年してみると、ⅠおよびⅡA・ⅡB型式がプレスキタイ期(前九~七世紀) 、Ⅲ型式がスキタイ文化初期(前六世紀) 、Ⅳ型式が同中期(前五~四世紀) に属し、各時期毎に伴出する斧・剣・鏃・土器・動物意匠などの遺物も型式を変えていること、つまり轡は他の遺物とセット関係を有して変化したことがあとづけられた。右の事実は、スキタイ文化成立の事情とその変化のあり方を物語っているばかりでない。タガール・オルドス等東方の諸文化においては、轡をはじめとするスキタイ文化初期の型式をもった遺物がセット関係を示して出現しており、これら諸文化の成因にはスキタイ文化の強大な影響のあったことを示唆している。

収録刊行物

  • 史林

    史林 55 (5), 645-672, 1972-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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