<紹介>乾隆時代の一広域犯罪事件と国家の対応 : 割辮案の社会史的素描

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タイトル別名
  • <Articles>A Wide Spread Crime in the Qianlong 乾隆 Period and the Response of the State
  • 乾隆時代の一広域犯罪事件と国家の対応--割辮案の社会史的素描
  • ケンリュウ ジダイ ノ イチコウイキ ハンザイ ジケン ト コッカ ノ タイオ

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抄録

乾隆三十三年に発生した割辮案、人の辮髪を翦るという事件は、華中・華北の全域をまきこんだ広域犯罪であった。これに対し乾隆帝は、当初は絶対逮捕の強い姿勢で臨んだが、次第に方針を転換して、最終的には、首犯を逮捕できないまま、捜査によって民衆に迷惑をかけないという理由で捜査を打ち切った。しかしこのような支配の原則の転換は、決して乾隆帝自身のべるような、民衆に対する恩情によってひきおこされたのではない。乾隆期における空間移動は、質・量ともに多様、且つ莫大であった。そのため、そのような巨大な人の流れに身を潜ませ、各地で散発的に犯行を重ねる犯人をつかまえることは、もとよりできなかったのである。一見恩情にみえる支配原則の転換は、実は捜査を打ち切るための体のよい口実であった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 70 (6), 877-916, 1987-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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