<論説>『歴年図』と『通志』 : 『資治通鑑』の成立過程に関する一考察

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タイトル別名
  • <Articles>On Ssu-ma Kuang 司馬光's the Li-nien-tu 歴年図 and the T'ung-chih 通志
  • 「歴年図」と「通志」--「資治通鑑」の成立過程に関する一考察
  • レキネンズ ト ツウシ シジ ツガン ノ セイリツ カテイ ニ カンスル イチ

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抄録

北宋朝仁宗期には春秋学を先導に宋学が勃興し、その春秋学の影響下に司馬光の歴史叙述は計画された。彼の編年体史撰述の目的は過去の厖大な数量の紀伝体史の叙述内容を要約した形で皇帝たちに提供することにあった。彼は模索の結果、『漢書』の叙述内容を要領よく集約した『前漢紀』の体例を選び、これを自己の歴史叙述の形式に採用した。先ず大事記を作って歴史叙述の見取り図とし、これに基づいて編年体史を叙述する計画を立てた。そして歴史事象の中、とくに君主にとって大事に属するものを選び、それらを一三六二年間の簡史としてまとめ各王朝史に概評を加えて『歴年図』とし、紀伝体史の研究から得た歴史事象の評価のための範疇と君主論を後序として付し英宗皇帝に献上した。その二年後、その冒頭の部分『通志』を具体的な歴史叙述の形で英宗に提出し、英宗からその続修・完成を要請された。これが『資治通鑑』の冒頭部分に相当するものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 74 (4), 461-483, 1991-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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