<論説>畿内と古代国家

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タイトル別名
  • <Articles>The Nature of the Kinai(畿内)Region and its Role in Ancient Japan
  • 畿内と古代国家
  • キナイ ト コダイ コッカ

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説明

畿内とは何かということを、従来の説にとらわれないような形で考察することをめざした。まず、賦役令の検討から、従来別個の労役であるといわれていた歳役と雇役が、実は同一のものであることを主張し、その見解をふまえて、律令制下の畿内は国家を直接支える役割を担っており、そのため雑徭の負担が重くなること、ただし、畿内と畿外には支配形態上の本質的相異は認められないことを指摘した。次に畿内制の成立、その前提へと論を進め、従来、中央豪族の居住地が畿内となったといわれてきたが、そう考えることはできないこと、大化前代の畿内の地には宮の経営を支えるミヤケが存在しており、その機能・そこに賦課された労役が、畿内制成立の前提をなしたということを主張した。以上の考察から、畿内制の成立は、天皇を中心とする国家機構の整備の上で、一つの画期をなすものと意義づけるべきであるという結論に達した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 79 (5), 693-727, 1996-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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