<論説>テトラルキア時代ガリアにおける弁論家と皇帝 : 『ラテン語称賛演説集 (Panegyrici Latini) 』より

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タイトル別名
  • <Articles>Orator and Emperor in Tetrarchic Gaul : The Connection between Court and Provincials in Panegyrici Latini
  • テトラルキア時代ガリアにおける弁論家と皇帝--『ラテン語称賛演説集(Panegyrici Latini)』より
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  • Orator and emperor in Tetrarchic Gaul: the connection between court and provincials in Panegyrici Latini

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抄録

本稿は、『ラテン語称賛演説集』の分析を通して、後三〇〇年前後のガリアにおいて皇帝・宮廷とガリア人とがどのように利害を一致させ相互に結び付いたかを考察するものである。当時のガリア人たちが利用したのはレトリックの技能であり、称賛演説発表の機会である。ガリア人弁論家たちは修辞学の素養を活かして宮廷内に宮吏として入り込み、故郷の再建や減税措置の嘆願といった利益誘導を行った。他方で、彼らは官吏として宮廷とのコネクションを得た以上、皇帝の意を受けたプロパガンディストとしての側面も強い。しかし、そのプロパガンダの内容も、ガリアでの行政運営を支えるガリア人たちの利害や感情をかなり意識したものであることがテキストから読み取れる。帝国の分割統治という当時の政治的情勢の中、各地を訪れた皇帝・宮廷と現地の属州人との間で容易に協力体制が成立し得る、こう考えることができるのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 92 (2), 324-358, 2009-03-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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