<論説>原文に忠実な魏志倭人伝の解読 : 後漢書の倭国観の誤謬を重点とする研究

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Explanation of the Wei-chih-wo-jen-chuan 魏志倭人伝 Faithful to the Original
  • 原文に忠実な魏志倭人伝の解読--後漢書の倭国観の誤謬を重点とする研究
  • ゲンブン ニ チュウジツ ナ ギシ ワジンデン ノ カイドク アト カラブミ ノ ワコクカン ノ ゴビュウ オ ジュウテン ト スル ケンキュウ

この論文をさがす

説明

この論文の目的は、魏略・魏志と共に原始倭人伝研究の根本史料として重視されてきた後漢書倭伝の倭国観が魏志倭人伝の難解と密接な関係にあることを論証し、従来の倭人伝解釈が基本的な点において誤っていることを明らかならしめ、以て原文の文章字句に忠実な新解釈を提供することに存する。まず (一) 後漢書倭伝を以て対馬国以下三十許国を含む大王国家の如く見ていたこと及びその理由を述べ、次に (二) かような倭国観は魏志倭人伝における倭国には妥当しないことを説き、後漢時代の事実としても後漢書の倭国観の正当性が疑わしいことを論じ、また女王国は倭国の異名であることを論述する。進んで (三) 邪馬台国を女王国と見る従来の見解を否定し、従来行なわれた三十許国を含む倭国観と邪馬台国=女王国説と対馬国以下八国間の行路の連続的読法との三者が「自二女王国一以北」の理解を不可能ならしめていることを指適した後、 (四) 「自二女王国一以北」が不弥国間での六国の地方であることを、行賂記事の解釈殊に戸数道里の「略載」の意味の究明及び倭国形成の法理上より論証し、最後に (五) 倭人伝が難解であった理由の綜合的説明を、主として後漢書の倭国観との対照において行ない、倭人伝が何を以て戸数道里記載の書式とし、何を以て倭国形成の法理としていたかという規範的認識を欠いていたため、後漢書の誤謬を踏襲したことが従来の研究の欠陥であることを説く。

収録刊行物

  • 史林

    史林 47 (1), 1-42, 1964-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ