地域の多文化間対話活動における参加者のカテゴリー化実践 : エスノメソドロジーの視点から

書誌事項

タイトル別名
  • Membership Category in "Multicultural Dialogue Activity" of Local Residents: An Ethno-methodological Analysis
  • チイキ ノ タブンカ カン タイワ カツドウ ニ オケル サンカシャ ノ カテゴリーカ ジッセン エスノメソドロジー ノ シテン カラ

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説明

世界的規模で人的移動が起こる中、日本でも外国籍住民が急増し、その日本語支援に地域住民が関わる地域日本語活動が盛んに行なわれるようになった。この領域では現在、多文化共生の観点から、日本籍住民と外国籍住民が対等な立場で参加し対話を通じて問題意識を共有していくという活動が提起され模索されている。本稿では、このような活動を「多文化間対話活動」と呼び、その相互行為に焦点を当てた実証的研究を報告する。 研究の目的は、参加者が「○○人、××人」といった一面的な関係性に固定されるのではなく、多様なアイデンティティで関わる相互行為を実現する方策を探ることである。エスノメソドロジーの会話分析の方法により、相互行為の中でどのようなカテゴリーが現れ、各カテゴリーは何をきっかけに形成され維持されるのかを分析した。 分析と考察の結果、本研究対象においては次の3点が明らかになった。(1)相互行為の中では、大別すると「日本人/外国人」カテゴリー対と『家族』 『性別』カテゴリー集合の2種類が支配的に現れていた。「○○人」カテゴリーは「日本人/外国人」という二項対立的なカテゴリー対の下位分類として現れていた。(2)これらのカテゴリー化は質問をきっかけに起こり、質問と返答という相互行為の中で相互達成的に形成されていく。そして「国籍カテゴリー有標質問」が「日本人/外国人」カテゴリー対を形成し維持する一因となり、逆に「カテゴリー無標質問」は多様なカテゴリーの出現につながっていた。(3)「日本語の説明」によってカテゴリーが表面化する。そして「日本語= 日本人が所有している」という前提での「日本語の説明」が「日本人/ 外国人」カテゴリー対を表面化させ維持する一因となり、逆にこの前提にとらわれない「日本語の説明」は多様な関係性につながっていた。 以上の結果から、多文化間対話活動において多様な関係性での相互行為を実現するための具体的な示唆を得た。

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