<論文>山本明コレクションにみる全神戸映画サークル協議会の地域性

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タイトル別名
  • <Articles>Exploring the Regionality of the All Kobe Film Circle Council through an Analysis of the Yamamoto Akira Collection
  • 山本明コレクションにみる全神戸映画サークル協議会の地域性
  • ヤマモトメイコレクション ニ ミル ゼン コウベ エイガ サークル キョウギカイ ノ チイキセイ

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抄録

本研究は, 1950年に発足した全神戸映画サークル協議会が, 映画館の地域性とどのように結びついていたのかを, 京都大学人文科学研究所が所蔵する山本明コレクションの関連資料から明らかにしたものである。第1章で映画サークル協議会の地域性という問題の所在と先行研究について述べ, 第2章で全神戸映画サークル協議会が, 1950年代後半の映画サークル運動の停滞期にみせた, 自主上映運動という本流とは異なる, 映画批評の革新を求める独自の動きを紹介した。第3章で, 山本明コレクションに含まれる全神戸映画サークル協議会の発行誌の多様性をまとめ, 『泉』『レフレクター』など全国的に知られた批評誌をはじめ, その出版活動が意欲的なものであったことを明らかにした。第4章で, 全神戸映画サークル協議会と協力関係にあった映画館が, 新興の映画館街の三宮や, 元町の高級映画館ではなく, 港湾や工場の労働者を重要な観客層とする新開地の映画館であったことを指摘した。さらに第5章で, 神戸における入場割引停止をめぐる映画サークル協議会と興行協会の対立は, 新開地の衰退と三宮の興隆いう, 神戸の都市構造の変化と結びついていることを論じた。最後に, 全神戸映画サークル協議会は, 全国的にみても活発な批評・出版活動をおこなっていた映画サークル運動であり, その活動の盛衰や映画館との関係は, 新開地から三宮への「盛り場」の移行, 神戸という都市の変容とも結びつくという地域性を有していたことを指摘した。

収録刊行物

  • 人文學報

    人文學報 116 107-119, 2021-03-31

    京都大學人文科學研究所

参考文献 (8)*注記

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