現在の千葉県産市販「イワシの卯の花漬け・イワシのゴマ漬け」の食品的位置づけ

書誌事項

タイトル別名
  • Food microbiological and chemical analysis of commercially available sardine in okara paste (iwashi unohana-zuke) and sardine in sesame (iwashi goma-zuke).

抄録

千葉県九十九里海岸地域の郷土料理に「イワシの卯の花(おから)漬け」、「イワシのゴマ漬け」がある。古い資料では発酵食品であるナレズシ系の食品と思われる記述もあるため、現在千葉県内で市販されている商品を食品科学的に分析した。第一段階の分析として市販「イワシの卯の花漬け」4 品を対象に微生物分析を行ったところ、発酵食品レベルの乳酸菌は検出されなかったが、イワシに由来するn-3系脂肪酸が多いことが明らかとなった。第二段階目の分析として、「イワシのゴマ漬け」10品について有機酸分析を行ったが、主要な有機酸は酢酸であり、2品でトレースレベルの乳酸が検出されたが乳酸発酵をした食品ではなかった。さらに、遊離アミノ酸分析を行ったところ、調味料としてアミノ酸を添加していない商品でも食酢由来と思われるグルタミン酸が検出された。  以上の結果から、現在市販されている「イワシの卯の花漬け」および「イワシのゴマ漬け」は、乳酸発酵タイプのナレズシ系から派生した、酢締めしたイワシと卯の花またはゴマを混合して製造するハヤズシ系の食品であることが示唆された。

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