治療選択に難渋した汎発性膿疱性乾癬の妊婦の 1 例

  • 島田 佳奈子
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
  • 本多 教稔
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
  • 島田 秀一
    国立病院機構熊本医療センター皮膚科
  • 柏田 香代
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
  • 梶原 一亨
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
  • 牧野 貴充
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
  • 福島 聡
    熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Generalized Pustular Psoriasis in Pregnancy : A Challenging Case
  • チリョウ センタク ニ ナンジュウ シタ ハンハツセイ ノウホウセイカンセン ノ ニンプ ノ 1レイ

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説明

<p>20 代女性。第 1 子妊娠中より稽留性肢端性皮膚炎として加療されていた。皮疹が拡大し,皮膚生検の所見から角層下膿疱症として外用加療を継続されたが,通院を自己中断した。第 2 子妊娠 19 週時点で膿海を伴う多発性の紅斑を主訴に再度受診し,妊娠 28 週より副腎皮質ステロイド内服を追加された。その後も改善せず,妊娠 30 週時点で 38 度台の発熱を認め,周産期管理を含めた全身加療目的に当院へ転院となった。妊娠を契機に増悪した汎発性膿疱性乾癬と診断し,顆粒球単球吸着除去療法やシクロスポリン内服を追加し,副腎皮質ステロイド内服を増量した。皮疹は改善傾向となったが寛解せず,追加治療として生物学的製剤の使用を検討したが患者が同意されず,使用しなかった。皮膚症状 3 点,全身症状・検査所見 2 点の計 5 点の状態で自然分娩に至った(妊娠 37 週 0 日)。児は低出生体重児で NICU 入室となった。出産から約 1 カ月後,抜歯後に皮疹が再度増悪したため抗 IL-17A モノクローナル抗体製剤のセクキヌマブを投与した。皮疹は速やかに改善し,現在も再燃はない。汎発性膿疱性乾癬の妊婦の治療は,安全性が確立した薬剤が限られるため,医師が治療の有益性が上回ると判断しても同意が得られず,治療選択に難渋することがある。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (1), 18-23, 2022-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (15)*注記

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