アイヌの食文化

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タイトル別名
  • Ainu people food culture

抄録

<p>【目的】アイヌ民族は、食生活はすべて神々と関わり、食の採取は食べる分しかとらないとした食事であり、食に対して独特の考え方を持っていた。本研究は、昭和期の文献からアイヌ民族について調査し、アイヌの地球環境にやさしいサスティナブルな食生活を考察し、現代に伝承すべき食文化について考察した。</p><p>【方法】文献として昭和期の聞き書を中心に調査した。また、北海道に点在する資料館に参考にした。       </p><p>【結果・考察】17世紀初頭以降、居住している地域から、北海道・南千島に暮らすアイヌは「北海道アイヌ」、中・北千島アイヌは「千島アイヌ」、サハリン南部のアイヌは「樺太アイヌ」に大別され、地域によって方言や食料などに違いがあることが分かった。その中で「樺太アイヌ」は、春は海辺のサッチセ(夏の家)で秋まで漁業を行い、冬は山辺のトィチセ(土の家)竪穴住居で暮らし、季節によって移住する狩猟生活であった。食材は、海岸部ではクジラ(フンぺ)などの海獣を、山間部はシカ(ユㇰ)やウサギ(イセポ)などの陸獣を狩猟する生活を営み、いずれの地域も山菜・肉などを干し肉や燻製にし、冬に備えて保存する文化は共通していた。3、40尾分束ねて家の天井に吊るして乾したサッ・チェプ(乾魚)は、魚油や海獣の油をつけてそのまま、焼く(アタツ)、叩く(ト゜パ)、燻製(リヤ・チェプ)、凍らせた保存食(ル・イペ)にして食し、無駄のない食べ方であり、自然と共に生きるサスティナブルな食生活を実践していたことがわかった。アイヌの食文化は環境とのバランスをとった食べ方であり、私たちの食生活も自然環境に合わせて変容させた食文化を伝承していくことが重要である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856229465685632
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_132
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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