厩橋病院の開放処遇に関する歴史的展開――病院設立から移転までの作業と慰安に焦点を当てて――

  • 山田 敏恵
    医療法人仁精会 三河病院 愛知県立大学人間発達学研究科(博士後期課程)

書誌事項

タイトル別名
  • The Historical Development of the Open Door System at Umayabashi Hospital Focusing on Work and Entertainment from the Hospital’s Establishment until its Relocation
  • キュウバシ ビョウイン ノ カイホウ ショグウ ニ カンスル レキシテキ テンカイ : ビョウイン セツリツ カラ イテン マデ ノ サギョウ ト イアン ニ ショウテン オ アテテ

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抄録

<p>本研究の目的は,1928年社団法人前橋積善会厩橋病院設立から1935年の本院移転までを対象とし,同病院における開放処遇の意義を,院長前田忠重の精神病者処遇理念,作業療法と慰安の具体的実践内容との関連性の検証を通して明示することである.厩橋病院の設立により,精神病者は監置室という檻から解放され,開放処遇による作業と慰安のある環境で治療を受けることになった.昭和初期の閉鎖的になりがちだった精神病院において,厩橋病院の医師や看護人は,作業と慰安の場を,病棟から病院構内,構外へと広げた.同病院における開放処遇とは,作業と慰安の機会を通して精神病者を「人」として扱う処遇であった.そして,心を慰める手段であり,病いの治療であり,退院に向けた準備であった.この開放処遇は前田の理念,それを共有する看護人,快復へのプロセスと捉える病者,同病院に理解を示す地域により成立したことが明らかになった.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 63 (1), 1-13, 2022-05-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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