新漁業秩序下における韓国TAC制度の現状と課題

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タイトル別名
  • Study about TAC system of Korea under the new fisheries order
  • シン ギョギョウ チツジョ カ ニ オケル カンコク TAC セイド ノ ゲンジョウ ト カダイ

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抄録

<p>1996年,日本,中国,韓国は相次いで国連海洋法条約を批准し,北東アジアにも新しい漁業秩序が形成しつつある。一方,共同利用水域・資源を有する3国による協調的な管理は実現していない。本報告では新漁業秩序の内容を明らかにし,協調的な資源管理実現への土台を探ることを目的とし,韓国TAC制度について,その導入の背景,制度の概要(管理対象,決定・割当・管理方式),2004年末までの実施を検証し,課題を考察する。</p><p>韓国のTAC制度は新日韓・韓中漁業協定発効前の1999年から実施された。対象魚種はサバ類,マアジ,マイワシ,ベニズワイガニ,ズワイガニ,ウチムラサキガイ,タイラギ,済州島サザエ,ガザミの9魚種である。対象業種はTAC魚種の漁獲実績が高い沿近海漁業で,長官管理漁業と知事管理漁業に分けて個別割当方式である。ただし,割当は漁獲実績・漁船規模を基に,配分は均等に行われる。また,TAC管理は漁業者と委託販売者による漁獲量報告を原則とし,オブザーバーと漁業監督員が監視取締りを行っている。TAC関連規定への違反者には罰則も設けられ,TAC参加促進のための支援事業も行われている。しかし,現状はTAC割当・漁獲実績・消化率が不安定で漁獲物の小型化もみられる。また,対象業種の限定,外国漁船への適用除外,TAC非参加漁船,漁民要求量や漁獲実績を過度に重視したTACの設定,資源調査不足によるTACの信頼性の低下,業種・地域間の漁業調整機能の欠如,漁獲量の報告漏れ,オプザーバー不足による漁獲量調査や共同乗船の不徹底,罰則規定の欠如,過剰な漁獲努力量が問題をもたらしている。</p>

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参考文献 (43)*注記

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