日本産ハナイカダ(ハナイカダ科)における染色体倍数性と葉緑体DNA の種内多型

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タイトル別名
  • Intraspecific Variation of Ploidy Levels and Chloroplast Haplotype within <i>Helwingia japonica</i> (<i>Helwingiaceae</i>) in Japan

抄録

<p> 日本産ハナイカダHelwingia japonica の種内多型を把握するために,台湾を含めた分布域を通して,染色体倍数性と葉緑体DNA の種内多型を調べた.染色体倍数性は,フローサイトメータを用いて相対ゲノムサイズの比較により推定し,二倍体,四倍体,六倍体が区別できた.葉緑体DNA psbA-trnH 領域の塩基配列多型からは,22種類のハプロタイプが区別できた.これらを踏まえると,日本産ハナイカダは32 タイプに区別することができ,高い多様性を持つことが明らかになった.従来の認識とは異なり,ハナイカダH. japonica subsp. japonicavar. japonica は二倍体,四倍体および六倍体を含んでおり,東北には二倍体が,西日本には四倍体が分布していることが明らかとなった.また二倍体は地理的に3 つの地域に分かれて分布していることも明らかになった.典型的なコバノハナイカダH. japonica subsp. japonica var. parvifolia とリュウキュウハナイカダH. japonica subsp. liukuiensis は従来の認識通り,二倍体であることを確認した.二倍体,四倍体および六倍体は地理的に分かれて分布しており,3 集団においてのみ,2 つの異なる倍数性が同所的にあることが観察された.倍数レベルと葉緑体ハプロタイプの地理的分布,ハプロタイプ間の関係,倍数レベル間におけるハプロタイプの共有を考慮すると,1 つの優占ハプロタイプが西日本での倍数化に貢献したと考えられる.その他の倍数体の多くは,異なるハプロタイプをもつ二倍体から生じたというよりは,優占ハプロタイプで生じた倍数体が遺伝的に多様化したであろうと考えられた.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 92 (6), 321-329, 2017-12-20

    植物研究雑誌編集委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856771398290816
  • DOI
    10.51033/jjapbot.92_6_10825
  • ISSN
    24366730
    00222062
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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