腸内細菌と精神神経疾患からみる腸脳相関

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  • The Microbiome-gut-brain Interaction in Psycho-neurological Disorders

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抄録

<p>腸内細菌は,多種にわたり大量に腸管内に存在する.腸管粘膜は,上皮細胞間のタイトジャンクションにより緊密に結合し,表面は粘液により被覆される.粘液はその物理的性状,粘液中に分泌されるs-IgAおよび抗菌蛋白により免疫学的に管腔内物質の生体への侵入を予防し,上皮内の樹状細胞,上皮下の免疫細胞およびs-IgAによってより強固な防御機構を形成する.加齢や心理社会環境ストレスは粘液産生低下および免疫機能低下により腸管バリア機能が低下したleaky gutを誘発する.その結果,精神神経系,消化器系,代謝系,免疫系の多彩な腸内細菌関連疾患を誘発する.その主要な機序は,炎症,細菌代謝物などの侵入もしくは吸収,免疫反応である.精神神経疾患の病態においては,精神疾患は主として炎症反応が脳血液関門を障害し,神経炎症を引き起こすこと,神経変性疾患では腸管で吸収された物質が求心性神経を経由して中枢神経系で凝集すること,がその主要な病態と推測される.</p>

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 62 (6), 451-457, 2022

    一般社団法人 日本心身医学会

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