音楽批評に於ける遷移と組み替え

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タイトル別名
  • Transition and Recombination in Musical Criticism
  • オンガク ヒヒョウ ニ オケル センイ ト クミカエ

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抄録

コロナ禍という未曽有の時期にあって,クラシック音楽界は苦境に立たされている。ことに被害が甚大なのは演奏会であり,それはかつて挙行されていた演奏会に於ける前提が,コロナ禍によってことごとく覆されたことによっている。この演奏会をはじめとして,クラシック音 楽界は「慣習」が様々な局面で定着していることが認識されるが,それは時代に沿おうとする意向とは往々にして対極に向かう。それゆえに,現今のコロナ禍が重くのしかかっていることは否めない。しかしそのような中で,コンサートホールを拠点としながらも聴き手はそこに参集しないなどという,新たな演奏形態が生まれつつある。翻って音楽批評は,演奏会の事後の営為であるだけに,こちらも演奏会が行われない以上, 成立しようがない。だが,そのような新しい取り組みが試みられようとする際,どのような切り口から向き合うかが問われる。先の慣習は演奏のみならず音楽批評に於いても同様だし,なにより音楽批評が立つ地盤が脆弱であることは,コロナ禍いかんにかかわることではない。本稿では,音楽批評がこの時期とそこでの演奏のあり方に対して,どのような態度で臨むかを追う。

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