書誌事項
- タイトル別名
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- The Short-form Version of the Depression Anxiety Stress Scale (DASS-21) : Reliability and Validity in Female Japanese Undergraduate Students
- ジョシダイセイ オ タイショウ ト シタ ニホンゴバン The Depression Anxiety Stress Scales-21 (DASS-21)ノ シンライセイ ト ダトウセイ ノ ケントウ
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説明
<p>The Depression Anxiety Stress Scales(DASS)-21は抑うつ,不安,ストレスといったネガティブな感情を測定するために開発された英語の尺度である。フランス語やドイツ語をはじめ,55か国語に翻訳されているが,日本語版が日本人を対象とする集団において,精度が適正に保たれているのか,すなわち信頼性と妥当性の検証は十分になされていない。</p><p>本研究の目的は,我々が翻訳を行ったDASS-21の信頼性と内容的妥当性および基準関連妥当性を検証することである。尺度翻訳に関する基本指針に従い,英語版DASS-21の翻訳作業を行い,日本語版を完成させた。無作為に集められた健康な女子大生を対象に質問紙調査を実施し,141名,平均年齢21.9±7.08歳から有効な回答を得た。同時に,基準関連妥当性を検証するため,すでに確立している心理尺度として,Beckうつ病評価尺度(Beck Depression Inventory-I;BDI-I),State-Trait Anxiety Inventory(STAI)状態・特性不安尺度,ストレス反応を測定する尺度(Public Health Research Foundationストレスチェックリスト・ショートフォーム;PHRF-SCL)を用いた。</p><p>DASS-21日本語版の各下位因子の内的整合性は信頼性解析によりCronbach α係数が高値を示した。また項目尺度得点相関(Item-Total相関)の結果もそれぞれの下位因子と尺度得点で有意な相関が示されたことから,高い信頼性が示された。さらに妥当性を調べた結果,抑うつ尺度はBDI-Iと有意に正の相関関係を示し,ストレス尺度はPHRF-SCLと相関を示した。さらに不安尺度はSTAIの特性不安と弱いが有意な相関関係を示したが,状態不安とは相関しなかった。探索的因子分析を行ったところ,固有値1.0以上の3因子解が得られたが,我々が翻訳したDASS-21は海外の先行研究とは異なる因子構造を示した。</p><p>本研究により,日本語版DASS-21の信頼性と妥当性が示された。しかし,探索的因子分析の結果から,3因子モデルよる解釈は妥当であるが,海外の先行研究とは異なる構造を示すことが明らかになった。今後,本尺度の再構成が必要であると考える。</p>
収録刊行物
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- 日本健康医学会雑誌
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日本健康医学会雑誌 31 (3), 380-389, 2022-10-07
日本健康医学会